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和む少年犯罪小説「オーダーメイド殺人クラブ」

2015年 集英社刊行 辻村深月著

クラスで人気者の女子と無口で日陰者の少年が「殺人への興味」という負の動機で結ばれ、正反対の二人が犯罪への計画を通して関係性を築いていく、ちょっとホッコリする少年犯罪小説。

あらすじ

クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。
死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。
家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。
二人が「作る」事件の結末は――。 Amazonより

普段はジャケ買いとかしない方なんですが、
なんとなく中二感が漂うタイトルと表紙絵に惹かれて、何となく購入してみました。
イジメや少年犯罪をにおわせる内容でありながら、主人公二人の微妙な関係性に少しキュンとして、先の展開が気になってしまい思わず一気読みしてしまった作品です。

女子生徒のアンを取り巻くリア充グループは、僕には馴染みの無かった環境なので、そんなことでいちいち絶交したりイジメたりするのかと正直、読んでいて気持ちのいいものではありませんでした。
少年側もだいぶ病んでいて、よくある少年犯罪小説に登場する屈折した少年像に共通する部分を多く持っていますが、実際に行動に移すだけの熱量が無い冷めた少年です。
そんな二人が不思議と結託して同じ目的に向かって計画していく様が、どこか恋愛的なキュンとする空気を含んでいて
犯罪と恋愛という相反する二つの要素が微妙なバランスを保ちながらラストまで突き進んでいく、思春期らしい不安定な雰囲気がとても丁寧に書きこまれている作品だと感じました。
動機が動機だけに素直に共感はできませんが、
そんな二人の関係がちょっと羨ましく、自分もそういう学生時代の出会いが合ったらなと感じてしまうそんな作品です。

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