読書感想文
光速のランニングバック「アイシールド21」
原作:稲垣理一郎、作画:村田雄介
2002年から2009年まで週刊少年ジャンプで連載されていたアメリカンフットボールを題材に扱ったスポーツ漫画。
日本ではあまり馴染みのないスポーツなので、アメフトをテーマにした漫画自体がほぼありませんが、テレビ東京系列でアニメ化もされ、発行部数2000万部を超える大ベストセラー作品なので、アメフトを知らない人でも当然楽しめます。
あらすじ
貧弱で気弱な少年”小早川瀬那”は私立泥門高校に入学早々、同じクラスの不良たちに目をつけられイジメられてしまう。
殴られるのが嫌でパシリとして自然と足が速くなってしまったセナに目を付けたのはアメフト部主将の”ヒル魔”だった。
ヒル魔によって強制的に試合に出場させられるセナだったが、その試合の中で才能を開花させる。
ランニングバックとして目覚めたセナは”泥門ビルバッツ”の仲間たちと共に、全国大会決勝(クリスマスボウル)出場を目指し、強豪校のライバルたちと熾烈な戦いを繰り広げていく。
スポーツ漫画はあまり読まない方なのですが、アイシールド21は本当にハマりました。
シリアスとギャグを程よくブレンドした少年漫画的なテンポの良さや、アメフトのルールがわかりやすくストーリーに織り交ぜられているので、アメフトを知らない人でもとても読みやすく、素直に楽しめる作品です。
特に胸を熱くしたのは関東大会編の「VS巨深ポセイドン」と「VS神龍寺ナーガ」戦。
最後の大会出場になる先輩たちを決勝の舞台へ導くため、新たに加入した水町や筧が泥門を圧倒する試合展開と本当のアイシールド21を知る筧とのエース対決。
関東の伝説 神龍寺との決勝戦。天才阿含にあらゆる奇策で対抗するヒル魔と、暴力で相手をねじ伏せる阿含に追い詰められたセナが力で対抗するラスト。
知力と体力両方を駆使したアメフトの魅力が凝縮されたこの二つの試合は本当に面白かった!!
登場人物
個性豊かなキャラクター達がとても魅力的。
個々の個性にピタリな必殺技(?)も多種多様ですごく面白い!
・セナ:デビルバットダイブ(超加速状態で敵の真上をジャンプする人間砲弾)
デビルバットゴースト→デビルバットハリケーン(相手の眼前で突然消える必殺ラン)
・ヒル魔:デビルレーザーバレット(雷門しか取れない超高速のスパルタパス)
・進:スピアタックル→トライデントタックル(高速で突き刺すタックル)
・高見x桜庭:エベレストパス(長身の二人だけが通せる超高層パス)
・リク:ロデオドライブ(リクの必殺ラン)
・赤羽:ランフォース(敵の動きを先読みして対応する)etc…
セナの成長を描く物語が読み手を熱くさせてくれます。
作画の村田先生も漫画的なデフォルメがとても上手な作家さんなので、誰にでも受け入れやすい綺麗な絵も魅力的です。
データベース
東京地区 春大会
- 第1戦「恋ヶ浜キューピッド」
セナデビュー戦。
部員全員が彼女持ちの恋ヶ浜に対して、チアガールもいない寄せ集めデビルバッツ。
彼女がいない助っ人メンバーたちをヒル魔が焚き付けて一致団結。
試合終了間近のワンプレーでセナが登場し逆転勝利!- 第2戦「王城ホワイトナイツ」
努力する天才”進 清十郎”が所属する関東の強豪。
セナの驚異の脚力にいち早く目を付けライバルと認め、セナにとっても目標となる最強のラインバッカ― 進。
二人の対決の行方がアイシールド21の最も注目すべきポイント。
シリーズの中核をなす永遠のライバル。
春大会はあえなく惨敗。
対校試合
- 第3戦「賊学カメレオンズ」
レシーバーに新メンバー”雷門太郎”を迎え、泥門のプレーにパスが加わった!
ルール無用のラフプレーが得意の賊学相手に急造チームでどう立ち向かう!?- 第4戦「太陽スフィンクス」
賊学戦での大勝を受けて波に乗るデビルバッツ。
新たなメンバーを迎え”月刊アメフト”が主催する対校試合に参戦する泥門。
ついに本気になり始めた十文字、黒木、戸叶の三人(ハァハァ三兄弟)が関東屈指の重量級ラインに立ち向かう。- 第5戦「NASAエイリアンズ」
10点差以上で試合に勝たなければ即刻国外退去!
NFLでプロとして活躍していたアポロ監督率いる白人だけのチーム。
無重力の脚をもつパンサーはセナとの対戦を熱望し、試合に同行するがアポロは絶対に黒人をチームメンバーに起用しようとはしない。
パンサーと対決してみたいセナは大差をつけて圧勝すれば、パンサーが試合に出場するのではないかと踏んで無謀な賭けに出る。
東京地区 秋大会
- 第1戦「網乃サイボーグス」
全国大会”クリスマスボール”へ続く地区予選、東京地区大会がついに開幕
第1回戦は大会荒らしの異名を持つ網乃高校。
毎年一つのスポーツにフォーカスして徹底的に研究/分析しチームを作り上げてくる、スポーツを科学する強豪校。- 第2戦「夕陽ガッツ」
スタメンの正部員が2名だけという助っ人寄せ集めの夕陽ガッツ。
いつも苦戦を強いられるデビルバッツにしては珍しく、99%勝てる試合と楽勝ムードのセナ達だが、残り1%の可能性に警戒するヒル魔。
予想通り試合は終始デビルバッツの優勢だったが、試合後半でついに正部員達が参戦し夕陽が本領を発揮する。
アメリカ特訓中に出会った”瀧夏彦”デビュー戦。- 第3戦「独播スコーピオンズ」
パワー、スピード共に並みのチームだが、司令塔”金串”の頭脳プレーが敵を追い詰める知能戦を得意とする独播。 しかし、本物の謀略家ヒル魔には遠く及ばなかった。
- 第4戦「巨深ポセイドン」
ラインマンの誰もが憧れる男気溢れるプレイヤー”鬼兵”率いる「柱谷ディアーズ」と初戦を戦った「巨深ポセイドン」
大方の予想に反して巨深が圧勝し、ブロック準決勝でデビルバッツとの対戦が決定。
”本物のアイシールド21”を知る筧と万能の天才”水町”など、新たに加わった長身のメンバーが泥門ラインを圧倒する。- 第5戦「西部ワイルドガンマンズ」
王城に次ぐ関東の強豪校。
オリンピック選手を父に持つ射撃の名手にして天才QB”早撃ちのキッド”。
正確無比な重機関車、レシーバー”鉄馬丈”。
セナに走り方を教えた兄貴分”甲斐谷陸”が登場。セナのデビルバットゴーストVSリクのロデオドライブ。
泥門と同様、攻撃に特化した西部とどう戦うのか?
長らく不在だった泥門のキッカー”ムサシ”がついに復活を果たす感動回。- 第6戦「盤土スパイダーズ」
関東大会決勝出場をかけた東京地区予選3位決定戦。
セナと同じアイシールド21を名乗る”赤羽隼人”が登場し、本物のアイシールド21の真実が明らかになる注目の試合。
最強のキッカーを自称する”佐々木コータロー”とついに復活を果たした泥門のキッカー”ムサシ”との対決。
セナがアイシールドの仮面を外し、小早川セナとして試合に臨む。
関東大会
- 準々決勝「神龍寺ナーガ」
関東大会決勝の舞台初戦は何と関東無敗の最強チーム”神龍寺ナーガ”
天才にして凶悪。神速インパルスの”金剛阿含”の前にはいかなる努力も無意味。
関東最強のレシーバー”一休”を前にまるで歯が立たない雷門。
あらゆる策を講じて神龍寺に対抗するが、すべてを力でねじ伏せる阿含に苦戦する泥門は、一枚も二枚も上手な格上相手にどう戦うのか?
弱小チームからのし上がってきたダークホースデビルバッツが神に挑む!
パワーと知略、アメフトの神髄が凝縮されたシリーズ史上最も熱い戦い。- 準決勝「王城ホワイトナイツ」
天然の天才阿含とは対照的な努力する天才”進”。
ずっと追い続けてきた最強のライバルとついに対決するセナ。
栗田に匹敵するパワーにスピードを併せ持つラインマン”大田原”。
冷静に戦況を分析する王城のブレーン”高見”と努力で一流プレイヤーとして成長した”桜庭”。
パワー、スピード、戦略、全てにおいて完璧を誇る関東の王との最終決戦!- 決勝「白秋ダイナソーズ」
どんなスピードも戦略も圧倒的なパワーの前には意味を成さない。
関東随一の屈強なラインを有する太陽でさえたった一人の野獣に捻り潰された。
その名を”餓王”。
特訓により餓王に匹敵する強さを手に入れた栗田だったが、優しさゆえに餓王にねじ伏せられ、ヒル魔が壊されてしまう。
司令塔ヒル魔を失った泥門、絶体絶命のピンチ!
ヒル魔と栗田の絆、パワフル語しか話さなかった小結の活躍が胸を打つ、関東大会決勝戦。
全国大会決勝”クリスマスボール”
- 「帝黒アレキサンダース」
関東と関西の優勝校が日本一を争う決勝戦”クリスマスボール”についにたどり着いた泥門デビルバッツ。
関西の優勝校”帝黒アレキサンダース”は、各校のエースプレイヤーを引き抜いて作られたドリームチーム。
クリスマスボールで関西に打ち勝てたことが無い関東はデビルバッツの面々に一縷の望みを託す。
これまで戦ってきた関東のライバルたちの願いを一身に受け、デビルバッツは関西の伝説に挑む!
ノートルダム大付属中でエースナンバーを与えられた数少ない日本人、”本物のアイシールド21”の”大和猛”が登場。
アイシールド21の名に相応しい最強のプレイヤーはセナか、ヤマトか?
14年ぶりの続編!
2023年 連載から21年めの節目の年に完全新作が読切という形で週刊少年ジャンプ誌上に掲載されました。
泥門高校を卒業したセナたちのその後の物語。大学のリーグでセナと蛭間が初対決!
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