読書感想文
フーゴのその後「恥知らずのパープルヘイズ」
2011年 集英社刊行 上遠野浩平著
週刊少年ジャンプにて連載、現在もウルトラジャンプで連載が続けられている超人気少年漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の25周年記念企画として発表されたノベライズ作品。
第5部に登場するメインキャラクター”パンナコッタ・フーゴ”。
原作ではジョジョたちと袂を分かつ形で一味から抜けた彼のその後の足跡を追った物語。
あらすじ
ジョルノがディアボロを倒して組織「パッショーネ」を新たに掌握してから半年が経過した頃、フーゴは過去にチーム仲間だった現組織のNo.2であるミスタよりスタジオ・ジュゼッペ・メアッツァまで呼び出される。
ブチャラティ達を裏切ったフーゴに対して改めて組織への忠誠を示させるべく、ミスタはジョルノ達が進めている裏社会の清浄化の一環として、ディアボロの遺した旧組織の象徴にして負の遺産たる麻薬チームの討伐を命じる。
ミスタが連れて来たスタンド使い「シーラE」と同行を命じられながら、フーゴは「任務を達成できなければ、あらためてオレがお前を殺す」とかつてのチーム仲間に冷酷に告げられるのだった。
自らが人生を懸けた人物であるブチャラティの死の事実を聞かされ、かつて自分が選んだ「ブチャラティの元を離別する」という選択肢は間違っていたのだろうかと苦悶する中、フーゴは自らと同様の事情を抱えたチーム仲間と共に新たな任務へと赴く。
ジョジョは僕にとってのバイブルです。
フーゴが登場する第5部は僕が当時中学生のころに連載が始まりました。
はじめは絵柄に馴染めなくて何となく食わず嫌いしていましたが(そういう人多いと思う)
読み始めてから見事に深みにハマり、大ファンになりました。
一番好きなのは2部ですがリアルタイムで読み始めた5部も僕にとっては特別なシリーズです。
さて、話が逸れましたが
第5部のメインキャラクターとして登場し、知的でスマートな人物で非常に強力なスタンドを持つフーゴ。
物語の中盤で仲間から抜けてしまうのですが、その後の彼がどうなったのか気になっていた読者は多かったはずです。
そんなフーゴの後日談が明らかになるのが、この作品「恥知らずのパープルヘイズ」です。
ノベライズ作品ということで始めはあまり期待していませんでした。
上遠野浩平といえば「ブギーポップは笑わない」を代表とするライトノベル作家として有名ですが、やはり原作の荒木先生ご自身が考えたものではないし、ジョジョという偉大な原作を文章で表現するというのは、ファンにとっては眉唾物です。
ジョジョのノベライズは過去にも、これ以降にも多く制作されていますが、この作品「恥知らず~」はそれらのノベライズ作品とは明らかに一線を画す傑作ではないでしょうか。
原作の世界観や雰囲気をうまく再現しているし、みんなが疑問に思っていたフーゴのその後を違和感なくきちんと説明してくれている点が、原作ファンにとっては感涙もの。
文章も読みやすく、エンタメ小説として存分に楽しめる作品です。
ジョジョ連載30周年を迎え、改めて盛り上がりを見せるジョジョですが、第5部のアニメ放送が終了し、先日ジョジョのスピンオフ「岸部露伴は動かない」のアニメ化が発表されました。
できればこういったノベライズも映像化になったりすると面白いのかなと思う今日この頃です。
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