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不気味なサイコスリラー「イン ザ・ミソスープ」

村上龍著
読売新聞夕刊に1997年1月27日から同年7月31日まで連載。
1997年 読売新聞社から刊行。読売文学賞受賞作。

連載の途中で「神戸連続児童殺傷事件」が起き、作品の扱う内容と重なることもあって大きな話題となった。
作者のあとがきではそれに触れて“この国には真剣に生きている人が少ない”と平和ボケした日本を痛烈に批判している。

あらすじ

夜の性風俗ガイドで生計を立てている予備校生のケンジは、アメリカ人・フランクから夜の案内を依頼される。
フランクの顔は奇妙な肌に包まれ、表情が無く、年齢も解らない。
その顔は、売春をしていた女子高生が手足と首を切断され歌舞伎町のゴミ処理場に捨てられたという記事をケンジに思い起こさせた。ケンジは不気味な観光客フランクに胸騒ぎを感じながら夜の新宿を行く。

村上龍作人は状景の描写が巧みで、過激な性描写が特徴です。
そんな村上龍作品の中でも特にグロテスクで不気味な雰囲気が漂う作品がこの「イン ザ・ミソスープ」。
妙な表情をしたアメリカ人観光客フランクが、とにかく気味の悪い存在として登場から描かれていて、その不気味な正体が露わになるとますます危険なサイコパスぶりを見せつけます。
しかし、主人公のケンジに対してだけは終始友好的なので、それがかえって恐ろしい。

小説を読み始めたのが遅かったので、たしかこれが初めて読んだ小説だったと思います。
それ故に衝撃の大きさもハンパなかった。。。
中学生とかが読んで楽しめるような作品ではない気もするけど、村上龍作人の持つ強烈な世界観を脳裏に焼き付けられた一作で、その後はしばらく村上龍作品ばかりを読み漁っていましたっけね。

戦後の日本で歴史的苦痛を知らない世代。
ぬるま湯に慣れきってしまった日本人がごった返すスープの中に突如投げ込まれた一人の危険人物を通して、簡単に揺らいでしまう安全神話と危機感を失った日本人を痛烈に批判している問題作です。

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