
読書感想文
少年たちの狂気「蠅の王」
1954年 ウィリアム・ゴールディング著
飛行機が墜落し、無人島に流れ着いた少年たち。
子供だけしかいない島で食料も乏しく、救助も来ない。
そんな中で少年たちは次第に野生化していく。
ノーベル文学賞受賞作家が描く人間の本性。
あらすじ
疎開地へ向かう少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。
生き残った少年たちは、リーダーを選び、助けを待つことに決める。
大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられたが、なかなか来ない救援やのろしの管理をめぐり、次第に苛立ちが広がっていく。
そして暗闇に潜むという“獣”に対する恐怖がつのるなか、ついに彼らは互いに牙をむいた―。
十五少年漂流記や珊瑚礁の島など、無人島に流れ着いた少年たちが力を合わせて冒険する成長の物語は有名ですが「蠅の王」はその真逆にある悲劇的な作品です。
追いつめられると人間はどこまで残虐になれるのか?子供ゆえの純粋さが次第に恐ろしい狂気へと変貌していくさまが生々しく描かれています。
主人公が子供なので読んでいてイライラする展開が結構多いですが、子供ってそんなもんかと思って読んでいると、その愚直な行動原理がだんだんと恐ろしくなってきます。
文明社会から隔絶された少年たちが、無人島の中で野生化していく不気味な作品です。
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