
読書感想文
おもしろ学生運動活動記「69-sixtynine-」
1987年 集英社刊行 村上龍著
1969年長崎県佐世保を舞台に当時盛んに行れていた学生運動の模様を作者の村上龍の実体験をもとに描かれた青春小説。
2004年に妻夫木聡主演で映画化もされた作品。
あらすじ
学生運動が各地で激化し日々ニュースで取り上げられていた1969年。高校生のケン(矢崎剣介)は学校のマドンナ レディージェーンこと松井和子の気を引くため、友人のアダマ(山田正)を巻き込み高校をバリケード封鎖するという暴挙に打って出る。
目論みは成功したものの、警察に身元がバレ停学処分を受ける二人。
しかし、停学が明けて登校すると二人はヒーローとなり、念願の松井和子との接近にも成功する。
気をよくした二人はフェスティバルの準備に取り掛かるが、他校の番長の彼女 長尾エミを誘ったことでピンチに陥る。
作者自身の体験談をもとに書かれた作品としても異例ですが、なんといっても村上龍作品とは思えないほどポップでコミカル。作者自身も「これは楽しい小説である。こんなに楽しい小説を書くことはこの先もうないだろうと思いながら書いた」と語るほど本当に楽しい作品です。
全共闘が世間を騒がせていた1960年代。ただモテたいという理由で、学生運動のまねごとをしようと高校をバリケード封鎖するケン。目論見通り学校のマドンナに近づくことは成功したが警察に捕まり停学処分を受ける。。。という考えなくても当たり前な展開ですが、バリケード封鎖に踏み切るまでの準備や決行してからの妙なテンションや急に怖気づく様など、多感な高校生の浅はかで勢いだけのバカさが読んでいてワクワクするし、声を出して笑いそうになるくらい面白おかしく描かれています。
暗く官能的で暴力的。社会派な難しい小説を書かれることが多い村上龍作品の中で明らかに異質な作品です。
妻夫木聡主演で映画化もされていますので、文章が苦手という方もぜひ。↓↓
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