
読書感想文
多重人格者による凶悪犯罪を描いた伝説の小説「ジキル博士とハイド氏」
1886年 ステーブンソン著
解離性同一障害、いわゆる二重人格者の二面性に着目し、一人の人間に内在する善と悪を描いた伝説的な名著。
作品のテーマはミステリーや犯罪小説に近いものですが、文体は得体の知れない不気味な凶悪犯罪者の正体を追う、ホラーや怪奇小説に近い雰囲気で描かれています。
時代的にメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」やブラムストーカーの「ドラキュラ」などホラー小説が大流行していた時代ですから、スティーブンソンもそれを狙ったのかもしれませんね。
あらすじ
弁護士のガブリエル・ジョン・アターソンの親戚リチャード・エンフィールドが遭遇した奇妙な事件。
ぶつかったというだけで転んだ少女を執拗に踏み付け、ケガを負わせた醜悪な人物”ハイド”。
少女の両親が慰謝料を要求したところ、アターソンの顧客で友人でもある”ヘンリー・ジキル”の宛名が書かれた小切手を持って現れたという。
しかもアターソンは、ジキルから「ジキルが死亡もしくは失踪した際には友人で恩人のエドワード・ハイドが全ての財産を相続する」という内容の遺言状の保管を依頼されて困惑していた。
そんなある日、ハイドが老人をステッキで撲殺するという事件が起こる。
警察の捜査により、ハイドの自宅から犯行に使用されたと見られるステッキの折れた柄が発見されるが、それは以前、アターソンがジキルに贈ったものだった・・・
あらゆる映画や漫画などにも登場する有名なキャラクターなので、名前だけは知っているという人も多いでしょう。
原作自体が非常に魅力的で、150P程度と短い作品でもあるので興味のある方はぜひ一度読んでみていただきたい作品です。
ZI:KILL(ジキル)というバンドが好きだったので、同じタイトルの小説に興味を惹かれて読んだらスゴかったってやつです。
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