読書感想文
最先端科学vs超古代文明 シグマフォースシリーズ
子供のころ インディージョーンズが大好きでした。
考古学者にあこがれた時期もあったし、いまでも超古代文明とか陰謀論とかオカルトチックなものは好きです。
トゥームレイダーやナショナルトレジャー、ダヴィンチコードみたいな史実を元に創られたアドベンチャー作品って面白いですよね。
ただ、完全な創作ではないため辻褄が合うように話をまとめるのが難しかったり、下手をすると作者の単なる妄想というか、都合のいい作り話にしか聞こえなくなってしまうので、なかなかヒット作が生まれにくい分野でもあるなと思います。
そんな中でシリーズを通して楽しませてくれる考古学ADV作品が
ジェームズ・ロリンズ著 「シグマフォース」シリーズです。
シグマフォースとは
米国国防総省で研究・開発を担当するDARPAの管轄下におかれる秘密特殊部隊。
元特殊部隊の兵士たちから選抜された精鋭で、物理学、生物学、地質学、電気工学等の高度な専門教育を施された、天才的な頭脳と鋼の肉体を併せ持つ殺しの訓練を受けた科学者たちの組織である。
世界各地の神話や伝説の中で語られる不思議な力を持った遺物や、現代科学でも解明できない計り知れない力を持つ古代の知識などが各シリーズの中核を成すテーマとなっていて、最新科学によるアプローチから古代の謎に迫るミステリアスな展開が魅力です。
最先端のテクノロジーによる兵器や乗り物等、すでに実現しているのが信じられないほど高度な技術やアイテムが多数登場し、スパイアクションのような迫力あるアクションシーンはスピーディーで読み応え十分です。
考古学、宗教のみならずオカルトや陰謀論など史実に基づいた沢山の知識や蘊蓄もふんだんに盛り込まれているし、
アドベンチャーにはお決まりの秘境探検や危険な罠など少年心をくすぐるワクワクする展開が目白押しです。
登場人物たちも個性豊かで、メンバーそれぞれの抱える苦悩や人間関係、ロマンスなどハリウッド映画みたいにすべてのエンタメ要素が詰め込まれています。
全米では累計1500万部を超えるベストセラーで、著者のジェームズロリンズは映画「インディージョーンズ-クリスタルスカルの王国-」のノベライズも手掛けたヒットメーカーです。
数年前から映画化のはなしもあるようなので、今後の展開がますます楽しみです。
登場人物
- ●グレイソン・ピアース【グレイ】
- 本作の主人公。冷静な判断力と類まれな身体能力に加え、歴史、神話、伝説に関する深い知識を持つ。
- ●ペインター・クロウ
- シグマフォースの司令官
- ●セイチャン
- 犯罪組織ギルドの工作員。身体能力に優れた冷徹無比な女性暗殺者。
- ●モンク・コッカリス
- 医療分野に特化したシグマフォース隊員。グレイの親友であり、シグマフォースの分析官 キャットを妻に持つ。
- ●キャスリン・ブライアント【キャット】
- シグマフォースの分析官。夫はモンク。
- ●ジョー・コワルスキ
- 知力と体力、両方を兼ね備えるシグマフォース隊員の中では異質な体力担当。大柄で豪胆な爆破の専門家。
- ●レイチェル・ヴェローナ
- イタリア国防相警察の中尉
- ●ヴィゴー・ヴェローナ
- ヴァチカン機密公文書館の館長。レイチェルの叔父。歴史や神話、伝説に関する深い知識を持ち、グレイたちの大きな助けとなる。
0:ウバールの悪魔
シグマフォース設立前の物語で主人公は後にシグマフォース司令官となるペインター・クロウ。
激しい雷雨に見舞われた深夜の大英博物館で起きた爆破事件により、一人の警備員が犠牲になった。
博物館の学芸員のサフィア・アル=マーズ、サフィアの幼馴染みで大富豪のキャラ・ケンジントン、サフィアの元恋人の考古学者オマハ・ダンは、爆破事件がキャラの父の死の謎と関連があると知り、調査のためにオマーンの砂漠の失われた都市「ウバール」へと向かう。
一方、米国の秘密特殊部隊シグマフォースのペインター・クロウ隊長も、爆発の陰に無尽蔵のエネルギーを持つ反物質が存在していることをつかみ、身分を隠してサフィアたちに同行する。だが、テロ組織ギルドも反物質を入手しようと狙っていた。
1:マギの聖骨
ドイツのケルン大聖堂で行われていたミサの最中、修道服姿の侵入者たちが出席者と司祭を斬殺した。
犯人の目的は黄金や貴重な美術品ではなく、内部に保管されていた〈マギの聖骨〉だった。キリストの聖誕を祝いに訪れた東方の三博士の聖骨だ。
聖骨を奪った襲撃者たちは、世界を一変させる力を手にする。事態の収拾に追われるヴァチカンは、ローマの国防省警察に調査を依頼するが、彼らだけではこの奇怪な盗難と殺人事件に対処できず、米国国防省内の機密組織シグマに応援の要請が届く。
グレイソン・ピアースは暗い過去の歴史を暴きながら、古代の秘密が眠るアレクサンダー大王の遺跡へと向かう。その先には、神秘と恐怖のベールに包まれたドラゴンコートが待ち構えていた……。
2:ナチの亡霊
デンマークの首都コペンハーゲンで開催されたオークションで、チャールズ・ダーウィンの所有していた聖書が出品された。調査に訪れたシグマフォースのグレイソン・ピアース隊長は、謎の暗殺者に命を狙われる。
同じ頃、ネパールの僧院で発生した奇病を調査していたドクター・リサ・カミングスは、狂気に支配された仏教僧とともに、同じ奇病に感染したシグマフォースのペインター・クロウ司令官を発見した。病気発生の隠蔽を図る謎の組織に捕えられた二人は、ヒマラヤ山中にあるグラニートシュロス(花崗岩の城)と呼ばれる施設に収容される。
一方、南アフリカ共和国の動物保護区では、現地のズールー族の間に伝わる謎の怪物の目撃例が頻発していた。ヨーロッパ、アジア、アフリカで起こったこの三つの事件が一本の線で結び合わさる時、かつてナチス・ドイツの行っていた恐ろしい研究の正体が明らかになろうとしていた……。
3:ユダの覚醒
独立記念日――シグマフォースのグレイ・ピアース隊長のもとに、かつて闘ったギルドの女工作員セイチャンが、重傷を負って助けを求めてくる。その直後、グレイたちはギルドのメンバーに襲撃された。グレイとセイチャンは、巻き込まれたグレイの両親と共に、命からがら逃げ出す。セイチャンは組織のある計画に反発し、抜け出してきたという。その計画とは、マルコ・ポーロと『東方見聞録』の謎にまつわるものらしい。一方、シグマのモンク・コッカリスとリサ・カミングズも、ある島で発生した奇病を調査するため向かった先で謎の集団から襲撃を受けていた。
4:ロマの血脈
シグマフォースのグレイ・ピアース隊長の目の前で一人の男性が射殺された。著名な神経学者であるその男性、アーチボルド・ポークは、致死量の放射線を浴びていた。デルポイの神殿が描かれた硬貨と、不思議な能力を持つ少女の手による絵を手がかりに、グレイたちシグマの隊員は、ポークの娘エリザベス、ロマの男性ルカとともに、インドへと向かう。一方、ロシアのウラル山脈で記憶を失った一人の男性が目を覚ました。彼は不思議な能力を持つ三人の子供から、「僕たちを救い出して」との依頼を受ける。その頃、ロシアではニコライ・ソロコフ上院議員とサヴィーナ・マートフ少将を中心に、チェルノブイリ原発を利用したロシア再興計画が進んでいた。その計画に参加させられていたのが、不思議な能力を持つ子供たちだったのだ。子供たちの能力を増幅させる人体実験には、シグマの存在を疎ましく思うアメリカのグループも関与していた……。
5:ケルトの封印
ヴァチカンのサンピエトロ大聖堂での神父、アフリカ・マリ共和国の難民キャンプでのアメリカ人大学生、アメリカのプリンストン大学での大学教授――三つの大陸で起きた三つの殺人事件には、ある共通点があった。シグマフォースのグレイ・ピアースは、ヴァチカンでの事件でおじが巻き添えになった元恋人レイチェルの依頼でイタリアに飛び、渦巻模様と円環の謎を追う。一方、マリで犠牲になった大学生の父親である上院議員の要請で調査を進めるペインター・クロウは、遺伝子組み換え作物を手がけるノルウェーの企業が事件の裏に存在することを突き止めた。だが、調査を進めるグレイとペインターに、炎と氷の脅威と裏切りの罠が迫る。「ドゥームズデイ・ブックの鍵」を巡り、シグマとギルドとの争奪戦の火ぶたが切って落とされた。
6:ジェファーソンの密約
アメリカ・ユタ州山間部の洞窟で謎の爆発が起こった。現場の大地や岩盤は細かい砂と化し、火山の噴火を誘発してしまう。シグマフォースのペインター・クロウ司令官は、現場に居合わせたハンク・カノシュ教授らとともに、爆発の謎を追う。同じ頃、シグマのグレイ・ピアース隊長と女暗殺者セイチャンは、テロ組織ギルドの手がかりを求めて国立公文書記録管理局に向かっていた。トーマス・ジェファーソンら建国の父たちとアメリカ先住民との間の密約とは? 「十四番目の植民地」とは? 「大いなる秘薬」とは? それらは爆発と、ギルドの起源と、関係があるのだろうか? ニュートリノの謎の放出と、トーマス・ジェファーソンの書簡の内容を手がかりに、グレイたちはアイスランド沖合の島へと向かう。
7:ギルドの系譜
エデンの園には二本の木があった。一本は〈知識の木〉、そしてもう一本は〈命の木〉。〈知識〉を手に入れたアダムとイブ。しかし神は、ふたりに“ 定めのない時を生きられる”命の木の実を与えはしなかった……。
アメリカ合衆国ジェームズ・T・ギャント大統領の娘アマンダが、セーシェル諸島でソマリアの海賊に誘拐された。シグマフォースのペインター・クロウ司令官は、グレイ・ピアース隊長率いるチームを救出のために派遣する。しかし、出産を間近に控えたアマンダが、逃げるようにセーシェル諸島へと向かった理由とは? 誘拐の裏にギルドが関与しているのか?
ペインターはアマンダが人工授精手術を受けた不妊クリニックの調査を行なう。一方、グレイはタッカー・ウェイン大尉と軍用犬ケインの協力を得て、ソマリア山中の謎の施設にアマンダがいることを突き止める。だが、建物内に踏み込んだグレイが発見したのは、腹部を切り裂かれた惨殺死体だった。その間、ギルドによるシグマ包囲網は着々と狭まりつつあった……。
8:チンギスの陵墓
ダークエネルギーの調査をしていたアメリカの軍事衛星が、彗星の尾に接近した後、地球に墜落する。
通信が途絶える直前に衛星から送られてきた画像が捉えていたのは、廃墟と化した”四日後の”アメリカ東海岸だった。
一方、ローマのヴィゴー・ヴェローナのもとに届けられた古い頭蓋骨にも、四日後に地球が滅びるとの予言が記されており、ペインターはモンクたちを調査に向かわせる。
そのころ、死亡したと思われていた母親を探しにマカオを訪れていたセイチャンが何者かに拉致される。グレイとコワルスキの二人はセイチャン奪還のため、北朝鮮へと乗り込むのだった・・・。
9:ダーウィンの警告
カリフォルニア州の軍事研究施設から、爆発とともに謎の物質が流出した。その研究所から発信された最後のメッセージは、〈殺して……私たちを全員、殺して〉。現地に赴いたシグマフォースのペインター・クロウ司令官は、山間部を死の世界に変えながら拡散する物質の封じ込め作戦の指揮を執るが、正体不明の物質への対処法が見つからない。一方、研究施設で行なわれていた実験内容を探っていたグレイ・ピアース隊長は、施設の爆発後に行方不明となったケンドール・ヘス所長の知り合いのアレックス・ハリントン教授から要請を受け、南極大陸に飛ぶ。しかし、現地ではグレイたちの調査を妨げる勢力が待ち構えていた。カリフォルニア州での災厄と氷の大陸での攻撃を、裏で画策しているのはいったい何者なのか?
10:イヴの迷宮
遺伝学者のレナ・クランドールとローランド・ノヴァク神父はクロアチアの洞窟でネアンデルタール人の遺骨らしきものと壮麗な壁画を発見するが、謎の一団の襲撃を受けて洞窟内に閉じ込められ、遺骨も奪われてしまう。
二人を救出したグレイとセイチャンは遺骨の謎を探るため一七世紀の神父が残した手掛かりを追う。
一方、レナの双子の妹のマリアは飼育しているゴリラのバーコと調査に訪れていたコワルスキと共に中国人の一団に拉致されてしまう。
ネアンデルタール人の遺骨と北京で行われている謎の実験の関連とは・・・?
11:モーセの災い
二年前にアフリカの砂漠で行方不明になったハロルド・マッケイブ教授が半ばミイラ化した状態で発見され、その死体から謎の病気が広がる。
シグマフォースのペインター・クロウ司令官は旧友のサフィア・アル=マーズから調査を依頼されるが、サフィアも何者かに拉致されてしまう。グレイ、セイチャン、コワルスキは、教授の娘のジェーン、教え子のデレク・ランキンとともにスーダンに赴き、旧約聖書の出エジプト記の「十の災い」を研究していた教授の資料から病気の原因と治療法の発見を試みる。サフィアの奪還を目指すペインターは、彼女が極北の地のオーロラ・ステーションにいることを突き止める。施設を運営するのは発明家ニコラ・ステラを崇拝する実業家サイモン・ハートネルだった。
12:スミソニアンの王冠
ハワイのマウイ島に滞在中のグレイ・ピアースとセイチャンは、巨大なスズメバチの群れに襲われる。群れはハワイ島やオアフ島も襲撃し、多くの死傷者が出る事態に陥った。対応に追われるシグマフォースのペインター・クロウ司令官は、スミソニアン協会の創設者ジェームズ・スミソンの遺品で、第二次世界大戦中に盗まれた「悪魔の王冠」が、その件に関わっていることを知る。その裏で糸を引いていたのは、大日本帝国の再興と、殺された妻の復讐を誓う伊藤隆志という人物だった。
13:AIの魔女
人類に福音をもたらすために開発された超AI〈イヴ〉。
それが、魔女狩りの時代から生き残る組織によって盗まれた。
目的は、大規模なサイバー攻撃――
AIが救済を求めたのは〈シグマフォース〉。
14:タルタロスの目覚め
ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』は空想の産物なのか?
それとも真実なのか?
海洋考古学者のエレナ・カーギルは、グリーンランドの氷河の下に閉じ込められているという九世紀のアラブのダウ船の調査に訪れていた。
ダウ船の中で機械仕掛けの地図を発見した調査隊だったが、そこに謎の武装集団が現れエレナは拉致されてしまう。
グリーンランドでの事件を知ったシグマフォースは、エレナの行方を追うため、調査隊の一人が持ち帰った地図の部品を手掛かりにイタリアを訪れる。
そこで彼らはレオナルド・ダ・ヴィンチが制作したという、ダウ船に封印されていた地図の複製を目の当たりにし、英雄オデュッセウスの旅路の先にあったギリシア神話に描かれた”地獄(タルタロス)”が目的地であることを知る。
15:ウィルスの暗躍
2021年、全世界を襲った未曽有のパンデミック。
まるで現実世界とリンクするように発表されたΣの新作のテーマは”ウィルス”
地球上の生命に危険をもたらし、いまだ多くの謎が残されているウィルス。現人類の遺伝子に刻まれたウィルスの痕跡は生物の進化上必要不可欠な変化があったことを物語る。
タッカー&ケインが久しぶりに登場。
外伝1:タッカー&ケイン 黙示録の種子
ギルドの系譜に登場したタッカー大尉と軍用犬ケリーのスピンオフ。
世界各地を放浪しながら〈仕事〉の時に備えるタッカー&ケイン。
ロシアでのある仕事を終えたところに、〈シグマフォース〉のペインター司令官より“仕事”の依頼が――
外伝1:タッカー&ケイン チューリングの遺産
ギルドの系譜に登場したタッカー大尉と軍用犬ケリーのスピンオフ第2弾。
戦友で恋人だった女性から連絡を受け、急ぎ駆けつけたタッカー&ケイン。
しかし、彼らを待ち受けていたのは、次世代型戦闘用ドローンの襲撃だった……。
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