読書感想文
生命の尊さを知る魂の旅路「鋼の錬金術師」
荒川弘著 2001年~2010年までスクエア・エニックス刊行の月間少年誌「月間少年ガンガン」にて連載
錬金術の禁忌を犯し、肉体の一部と全身を失ってしまった”エドとアル”の二人の兄弟が元の体に戻るための方法”賢者の石”を求めて旅する物語。
死や魂の尊厳といった重厚なテーマを持ちながらも、陰鬱な空気が少なく、少年漫画らしいコメディチックな演出が作品全体をライトな雰囲気に仕上げている。
錬金術を通して人の命の重さを痛切に訴え続ける感動的な作品は他の少年漫画には無い唯一無二の特徴。
あらすじ
錬金術の原則は”等価交換”
無から有を生じることはできず、性質の異なるものを生み出すこともできない。そして”人体錬成”は錬金術における禁忌。
病によって亡くなってしまった母親にもう一度会いたいと願う”エドワード”と”アルフォンス”の兄弟は”錬金術”により母親を”錬成”しようと試みる。
しかし錬成は失敗し、兄のエドは左足を、弟アルは全身を人体錬成の対価として失ってしまう。
エドは右腕を犠牲にして弟の魂を鎧に定着させアルを現世につなぎとめ、二人は母親の魂と自らの肉体を取り戻すため錬金術の真理を求めて旅に出る。
綿密に考え抜かれた伏線と命をテーマにした非常に濃厚で感動的なストーリー。
誰も殺さないと誓い、信念に従って突き進む兄弟の姿に多くの仲間たちが共感して、二人が元の体に戻ることに希望を抱き、二人の旅の行く末にみんなが大きな期待を寄せていきます。
エドとアルの互いを思い合う姿や母を思う二人の健気な愛情、父ホーエンハイムとの確執に隠された真実など、家族愛も丁寧に描かれ、誰もが共感する胸を打つ展開が「ハガレン」の最大の魅力です。
エンターテインメント性の高い少年漫画においてはかなり特殊な作品ではないかと思います。
TBS系列でテレビアニメ化されています。
連載初期のアニメ化のため後半はオリジナルストーリーになっている第1期と、ラストまで原作に忠実な第2期。
個人的には2期めの方が断然おススメ。1期の後半はなんだか理屈っぽくて厨二感満載の暗過ぎる鬱展開でキャラの性格まで変わっちゃってるので途中で見るのを辞めました。。。(マスタングvsラストのシーンは1期の方が迫力あって良いですね)
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