今更ながら「UIUXデザイナー不要論」にケリをつける

数年前、UIUXデザイナー不要論がとりだたされ、デザイナーの間で物議を醸しました。
最近は声高に訴える人たちも少なくなりましたが、仕事をしているといまだにUIUXデザイナーに対する風当たりの強さも感じます。
なぜ、UIUXデザイナーは不要と思われたのか？
UIUXデザイナー不要論を唱える人たちは根本的な問題点に気づいていません。

デザイナーの職域を考える

画面デザインをする人たちのことをよく『UIUXデザイナー』と呼びますが、そもそもこのUIとUXは全くの別物なので、一緒くたにしてしまうのは少し危険でもあります。（と言いつつ、自分もUIUXという言葉をよく使いますが。。。）

▶UX（デザイナー）とはユーザー体験の創出と人間工学に基づくプロダクトの設計のこと
▶UI（デザイナー）とはUX設計に準拠した画面の構築とデザインが主な業務 参考：「UIUXデザイナーってなに？」

餅は餅屋

当ブログ記事や連載漫画の中でも度々言及してきましたが、「ただ見た目を作るだけの仕事」と思われがちなゲーム業界のデザイナー。(残念ながらこれが現実) しかし実際には、デザイナーがカバーしなければいけない守備範囲は見た目だけに留まりません。

デザインのコンセプト作りから始まり、サービスの特性や利用者の利便性を意識した画面レイアウトの設計。
お客様(企画担当者)と直接打合せしながらデザインを固めていくという”ディレクション”までが含まれるのが一般的で、見た目のクオリティはもちろんのことUX設計の知識も求められます。
サービスやアプリの開発では企画仕様をUIに落とし込んで考えるというプロセスが必ず発生するので、画面設計＆デザイン両方の知識や技術が必要不可欠となるのです。
つまりこれはデザイナーだけが実務の中で積み上げてきた独自の技能と言えます。

デザイナーができることとすべきこと

SG開発の現場においてデザイナーに求められる職務領域はさらに複雑です。
業務の内容的にプランナーとエンジニアの中間に位置する領域のため、この二職間のパイプ役としての側面も自然と発生してくるからです。

• ・企画意図を理解し、それをデザインに落とし込む【UX設計】
• ・技術的に可能な範囲内でどうやって仕様を実現するか、どうやってデザインを技術的に再現するか【フロントエンド】
• ・ユーザーの目を引く画面表現やインタラクションを考える【デザイン＆アニメ】

各職域の担当者が、他の職務領域に理解あれば、直接やり取りできるので話は早いのですが、
総合的になんとなくカバーしているデザイナーを通すのが手っ取り早いので、通訳として間に立つことが経験上多いと感じます。

UIUXデザイナーが不要だと思われてしまう理由

先述した通りデザイナーに求められる領域は非常に多岐にわたります。
しかし、得意不得意は誰にでもあるので、これらをすべてを完ぺきにこなせる人材は恐らく日本国内にはほぼいないでしょう。(僕はあったことありませんし、できると思ってるヤツは世間知らずの阿保です)
理由はコチラで＞ 「ゲーム業界で働くUIUXデザイナーが生きる道」

そのためか、多くのデザイナーはプランナーの仕様をそのまま作るか、ディレクターの意向のままに、言われたものをそのまま作ることに徹してしまいます。

結局これがUIUXデザイナー不要だと思われてしまう最大の原因で、UX設計をデザイナー以外の人が出来るなら「デザイナーはデザインだけしとけ」と思われてしまうわけです。
しかし、また繰り返しになりますが、UIにおけるUX設計の技術はデザイナーだけが職務の中で積み上げてきた独自の技能なので、他の職域ではカバーできません。

言われたことだけやっているようではUIUXデザイナーとは呼べない。
UIグラフィッカーはいわばオペレーターで、UX設計までできる人がUIUXデザイナーである。

UIUXデザイナーが必要不可欠な理由

UIUXデザイナーの役割は、企画意図を利用者に正しく・素早く伝えるための画面を設計することです。
ユーザーに体験してもらいたいことをUIで伝え、サービスの価値を最大化させることこそがUIUXデザイナーの使命だと僕は考えています。
つまりUIUXデザイナーはUIのUX設計に特化したごく狭義の専門家だと思うのです。

ゲーム体験のUXとUIのUXは根本的に違う。

ゲーム体験のUXもある程度理解していなくてはUIに落とし込むことは難しいと思いますが、「何が面白いか」を考えるのはデザイナーの職務ではないと個人的には思っています。(視点は大事だけど、あくまで仕事としてとらえれば)

デザイナーの専門分野はあくまで、目に見えている領域の理解を利用者に促すこと。

サービスをどう利用してもらいたいか？という視点はとても重要ですが、企画内容を考えるのはプランナーの領域です。
彼ら(プランナー)が面白いと感じているものをUIで表現し、ユーザーにも体験させてあげるのがプロのUIUXデザイナーの仕事なのではないでしょうか？

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不要論を振り翳してきた人たちは、サービスのUXとUIのUXを混同してしまっている気がします。
デザイナーの中にも切り分けが出来ていない人が多いと思うので、本物のUIUXデザイナーと仕事をしたことがあれば、根本的に着眼点がズレているという事実に気づくでしょう。

分析はできてもそれをデザインに落とし込めなければ結局は机上の空論。
分析した内容をUIデザインに落とし込む技術があって初めてUIUXザイナーを名乗れる。

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結論

UIUXデザイナーは絶対的に必要。

理由は――
デザインできないヤツが、ユーザーライクなUIなんて作れるわけがないから。
設計とデザイン両方の知識を持つ中継者がいなければ、各職域間の連携が取れない。 UIUIXデザイナーがいるだけで開発効率は格段に上がる。