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コラム「デザイナーの主張」

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「やってみなきゃ解らない」というセリフが大嫌い

ゲーム開発の現場でよく耳にする「やってみないと解らない」「作ってみないと解らない」という台詞。
これを聞くと僕は言ったバカをぶん殴りたくなります。
それはなぜか?
作らなくても解るから

実際に手を動かしてモノづくりをするデザイナーなどのクリエイターは、口頭の説明や企画書を読んだだけで完成予想図みたいなものを想像することができるのですが、企画職など手を動かさない職種の人たちはどうやらこの辺りの想像力に乏しいということが長らく一緒に仕事をしていると気づかされます。

経験上、企画書の段階でつまらないものは、作ってみてもやっぱりつまらないです。

デザイナーは作る前にそういうことが頭の中で想像できてしまうので、とりあえず作ってみようという風潮が嫌いなんですが、時間の無駄だとわかっていても作らざるを得ないのがゲーム会社においてヒエラルキー最下位のデザイナーを取り巻く不憫な現実です。 くたばれ!SG業界 不憫なUIUXデザイナー 第13話ここがヘンだよSG業界「ヒエラルキー」
作ってみたところで結果は見えているんですが、結局ーー
「あんまり面白くない」とか言い出すから「だから言ったじゃねぇか」とデザイナーは益々不満を募らせるワケです。

大切なのは具体性

プランナーさん達もある程度は脳内でイメージ出来ているようですが、おそらくデザイナーの想像しているモノに比べると、具体性に欠けているのではないかと思います。
ただこれは想像力の問題というよりも、経験値の差なのかもしれません。

アイデアが閃いた瞬間は脳内で壮大なイメージが膨らんで「これはスゴイことになるぞ!」みたいな妄想をすることがあると思います。これはクリエイターでも同じです。
ただ実際に作り始めてみるとイメージ通りには行かず、自分の中で都合よく美化されていたんだということに気づかされます。

イメージを具現化することとイメージ通りにそれらを生み出す作業は非常に難しいモノです。

手を動かしてモノづくりしてきたクリエイターは作っては壊してという”挫折”を何度も経験しているので、作り始める前の脳内イメージでより具体的な完成図が見えてしまうというわけです。

チューニングで良くなるのは錯覚

作ってみたけどつまらない。でもテコ入れしてみたらちょっと良くなった。というのはよくある現象。
でもそれはただの錯覚です。

デザインを整え、タイミングや体感、触り心地をチューニングして製品として世に出しても遜色ないレベルのモノにすれば、それを良く感じるのは当たり前です。それがプロの力です。
でも、ベースになっている元のゲームがつまらないんじゃどんなに上部だけ取り繕っても、見掛け倒しのハリボテ。期待以上に面白くなることなんてあり得ません。
ただの石ころをどんなに削っても石ころは石ころです。ダイヤの原石でなければ輝きません。

タイミングの調整や触り心地などの体感を調整するチューニングの作業なら実際にあるモノを触りながらでなければ出来ないので「やってみないと分からない」というのは理解出来ますが、これから作ろうとしているモノに対して「作ってみないと分からない」というのは考えることを辞めた猿と同じくらい愚かなセリフだと僕は思っています。想像力が足りませんと自称しているのと同義です。

プランナーだろうとエンジニアだろうとデザイナーだろうとアーティストだろうと、ゲーム開発に関わるメンバーはみんなクリエイターです。
自分の作ろうとしているモノの完成予想図を自分で描けない時点でクリエイター失格です。

すぐに解るようになれとは言いませんが、少なくともその能力を有している人材がそばにいるなら耳を傾けるべきです。
想像力を磨き続けることはクリエイターとしての最低限の礼儀だと僕は思います。 pika

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