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コラム「デザイナーの主張」

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日本のゲーム会社には優秀なUIUXデザイナーがいない問題

10年近くゲームアプリの開発に携わり、たくさんのデザイナーさんと一緒にお仕事をさせて頂きました。
しかし、正直なところ「こいつ出来るな(優秀だな)」と思うデザイナーさんにお会いしたことが殆どありません。

UIUXを専門的にデザインするデザイナーが希少な存在であるということが一因だと思いますが、もともとUIをプランナーが設計していたゲーム開発において、デザイナーの意見が通りにくいというゲーム開発現場特有の空気感のため、デザイナーが働きにくい環境が大きく関係しているとも思います。

しかしその根本的な原因は、そもそも現場のデザイナーに”UIUXデザイナー”を名乗るだけの能力が不足しているからではないかと近頃感じることが多くなってきました。

UXデザイン能力の欠如

画面のグラフィックは綺麗に作れるけど設計ができないデザイナーは実際多いです。
理論的なデザインができず、使う人のことを全く考えていない自己満足デザイナーです。
グラフィックと画面デザインを混同してしまっている人に多く見られます。 munou ゲームによって遊び方やルールが変わるので定型化するのが難しく、ユーザーが快適にゲームをプレイしてくれるかどうか、継続してくれるかどうかを担う重要な役割を果たす領域なので、ものすごくデリケートな分野なんですが――
慢性的にUIデザイナー不足のゲーム業界では画面のデザインさえできればそのままUIUXデザイナーと定義されてしまうので、UXまできちんと設計できるデザイナーは非常に少ないです。

デザイナーが画面設計できない以上、プランナーさんが幅を利かせるのも無理はないと思いますが、設計そのものがデザインに非常に深くかかわる内容でもあるので、UIのデザイナーにはUX設計の技術力が絶対的に必要です。 「プランナーはUIを考えるな!」
残念ながらゲーム業界に優れた”UI”を作れるデザイナーは少数です。

デザインセンスの欠如

おそらく長年ゲームのデザインだけやってきた人たちが陥る現象で、やたらと派手なものを作りたがるデザイナーがゲーム業界には多いです。
美麗なグラフィックや派手な演出が見ごたえあるのは事実ですが、それは高解像度のド迫力大画面で楽しむコンソールだからだともいえます。
スマホの小さな画面の中で同じことをしようとしてもそれは無理でしょう。スマホにはスマホなりの表現方法があります。

小さな画面でいかにリッチに見せるか?というのは課題ではありますが、ただただ見た目を派手にしたがるデザイナーには正直ウンザリです。 くそUI

また、ゲーム業界は技術的には最先端かもしれませんが開発体制が意外に古臭い場合が多く、老舗の大手メーカーほど古い技術に依存したままそこから脱却できていない現実もあります。
当然ながらデザイナーの感性も時代遅れになってしまっているケースがままあるので「いつの時代のデザインしてんの?」というクソダサいUIを作ってしまうデザイナーがかなり多いです。 「素人っぽいと感じるデザインの特徴10選」
仮にもデザイナーならトレンドの動向くらい追いかけましょうよ。
なんならWEBで修行詰んできてください。

知識の欠如

どうやってゲームが作られているのか?少なからず理解していないとそもそもUIデザインなんてできません。
エンジニアリングを理解していないデザイナーは好き勝手に美麗グラフィックを作りたがるので、デザインを実装しようとなった段階で「これどうやってゲームにするの?」となって詰みます。 impossible
優秀なエンジニアさんたちのおかげで何とかゲームとして再現できたとしても、仕組みを理解していないデザイナーはリソース(データ)の管理もできないため、プロジェクトの中身がブラックボックス化します。

後のことを考えて作られたものではないので、運用や改修、改造といった変更が非常にしにくい作りになってしまうため、運用フェーズに入ってからみんながヒドイ目に遭います。

交渉力の欠如

感性でデザインしてしまっているデザイナーさんも多いです。
センスのいい人はそれが正解の場合も多いのですが、勘なので「なんでこうした?」と突っ込まれると答えに詰まってしまって答えられません。その結果―― 最悪、プランナーの反対意見(改悪)に押し切られます。

勘でデザインするのも結構。センスで押し切るのも結構。
ただし、突っ込まれたときに「なぜそのデザインにしたのか?」ということに理論的に答えられる準備はしておきましょう。

素人たちに突っ込まれた挙句、誰も得しないクソUIにされたくなければデザイナーも理論武装を。

naniga ただまぁ、それでも人の話を聞かない人は結構いますがね・・・

責任感の欠如

ゲームの開発現場ではデザイナーの意見が通りにくいのも事実で、大抵の場合はプランナー主導によるUI設計が一般化しています。
ただ我々デザイナーもただ黙ってプランナーの言いなりにグラフィックを作っているわけではありません。時には殴り合い覚悟でプランナーと戦います。
実際、納得のいかないデザインは腐るほどしてきました。世に出されたら恥ずかしいと思うものもたくさんあります。それでも一応ユーザーさんが喜んでくれるので我々の仕事も無駄ではなかったと感じることは多少なりともあります。

しかし中には全く戦おうとしないデザイナーがいます。
ケンカしろというわけではありませんが、ただ言われるがままロボットのようにデザインを上げるだけなら、もはやUIUXデザイナーではありません。
「時間がないから」「プランナーに押し切られたから」
という言い訳も解らなくはないですが、そのデザインを評価されるのは他でもないデザイナーです。
プランナーの圧力に負けてクソUIが出来上がったとしてもそれをデザインしたのはデザイナーなんですから、自身の価値を貶めるような仕事をするくらいなら、勇気を出して戦うのもプロの流儀ではないでしょうか。

ただ、あんまりやりすぎると四面楚歌になるか、自分が壊れて病院送りになるので、ほどほどに。


全ての職域と連携しながら仕事を進めるのがとても重要なポストのため、UIUXデザイナー自身が機能していないとその悪影響はプロジェクト全体に波及します。
結果的に”クソUI”が出来上がり、運用や改修が非常に困難なシステムのままリリースされることとなり、プランナーやエンジニアは欠陥のあるシステムをベースに開発を継続しなければいけないため、どんどんゲームが壊れていきます。


UI(グラフィック)をデザインすることとUXをデザインする能力は別物です。

デザイナーの評価がなかなか上がらない日本のゲーム業界に嘆く方は結構多いと思いますが、そもそもそのデザイナー自身にUIUXデザイナーとしての能力が無いことが根本的な原因である場合も多いと感じます。
どんなにデザイナーが不満を声高に訴えても一向に響かないのは当たり前です。

UXデザインの能力を持たないUIデザイナーもUIUXデザイナーも、全て一緒くたにされてしまうSG業界では、優秀なUIUXデザイナーの評価が下がってしまう現実があり、この二つの能力は明確に分けて考える必要があると強く感じます。

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