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コラム「デザイナーの主張」

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プランナーはUIを考えるな!

ゲーム業界のデザイナーの仕事は
ゲームの画面をデザインするのが仕事・・・では、残念ながらありません。

プランナーの考えたイケてないUIをお直しするのが仕事
というのがデザイナーの現実です。 hubinnnadesigner しかしながら、デザインのプロではない彼らが考える画面構成はお世辞にも良いとは言えません。
素人が作る画面デザインをプロが手直しすると言う不自然な力関係が生み出す日本のSGのUIはどこの会社も皆揃って並以下です。
ゲームのUXを生み出すのがプランナーの仕事だとしても、UIにおけるUXはデザイナーの領分であるべきです。プランナーがUIを設計すべきでない理由を6つ挙げます。

1デザイナーが手を入れれば結局全部変わる

多くのプランナーは画面の構成まで考えたがります。
しかし、デザイン制作の段階でレイアウトやカラーリングなどはデザインに合わせて変化するので、プランナーが頭を悩ませたところでその時間はハッキリ言って無意味です。

色とか形とか位置とかどーでもいいです。
それはデザイナーの仕事なので丸投げしてくれて結構。

変に指定されると合わせなければいけなくなるため、かえって面倒です。
表現の幅が狭まったり、解りづらくなるだけで良いことなんて一つもありません。
レイアウトを考える暇があるなら企画の詳細を詰める方に時間を使ってください。

2システム的な都合を考慮できない

デザインを起こすだけがデザイナーの仕事ではありません。
システム的な都合やリソースの容量などを鑑みて、効率のいい画面の構築方法を考えながらデザインを仕上げます。
(エンジニアが出来ないという画面をそもそも作りません) hukanou

多くのPは自分たちの都合だけで好き勝手に画面を組んでしまうので、結局デザイナーがそれらを実現可能にするためにあらゆる手段を講じて画面をでっちあげます。
初めから考慮して設計していればそんな遠回りは必要ありません。

既存システムの中で実現可能な最適解を導き出し、エンジニアと協力しながらいかに効率的な構造に作り上げるか?アニメーションやインタラクション、リソースの管理など
それら全てを考えたうえで画面設計をして、初めてUIUXデザイナーと呼ばれるのです。

3デザインの知識がない

UIの設計はそのままUIをデザインすることだと言い換えても差し支えありません。(Design=直訳で”設計”だし)

画面のどこに視線を誘導するか、ユーザーにとって理解しやすい画面のレイアウトや全体のバランス、オブジェクトのサイズや空間のとり方など、UI設計を突き詰めていくとその延長線上には必ずデザインが発生します。

これは紙面(パンフレットやポスター、雑誌等)でも同じです。
読み手(ユーザー)に正しく情報を伝えるための技術や見せ方などは、デザイナーが考える仕事で、ライターが考えるものではありません。
ゲーム業界ではライター(プランナー)がデザインまで考えてしまうからおかしくなるんです。 poster

Excelやワードで適当にワイヤーを作られる方がいらっしゃいますが、そこで画面の見た目を作っている時点で既にそれはデザインですし、
ワイヤーを下敷きに詳細な画面デザインを詰めていくことになるので、結局のところ初期設計の段階でデザインを考慮していなれば、その作業はハッキリ言って無意味です。

jenga 基礎の地盤を素人が作ってしまうと、その上にどんなに立派な家を建てようと、地面がグラついているので上の建造物はいずれ倒壊します。
素人の建てた施工不良の家に住みたいですか?

見た目の綺麗さを担保するのは当然ですがそれ以前に、他の画面とのつながりや整合性、表現方法によって複雑な機構を簡潔にまとめたり、インタラクションによるUIへのアプローチなど、プロにはいろいろなアイデアと経験があります。
デザイン知識のない人間が初期設計をしてしまうと、ベースとなる土台がグラついてしまうので、その上に作り上げたデザインは遅かれ早かれいずれ破綻します。

4問題の本質を理解していない

「クエストの周回率が低下してきた」「ユーザーが定着しない」「新規ユーザーが増えない」「ガチャがうまく回らない→売り上げが下がってきた」
運用を長く続けていればそういった問題に直面することは多いですが、こういう時プランナーさんたちがやることと言えば新機能の追加、パラ上限の開放、新キャラ追加…etcと、まるで判で押したようないつもながらの施策ばかり。
しかし、なぜユーザーが定着せず離れていってしまうのか? その本質に気づいていないと僕は常々思います。

周回率が低いのは周回サイクルに問題があるから。ガチャが回らないのはガチャで手に入れたものを利用する場所に問題があるから。。。平たく言えばゲームサイクルに問題がある場合が非常に多いです。(経験上)
にもかかわらず、問題の本質から目を背け、目先の利益ばかり追いかけて新たな機能を追加したところでそれは一時的なものでしかありません。
イベント自体は盛り上がるかもしれませんが継続しないので、数か月後、1年後、同じ問題で頭を抱えてまた新機能を追加するという負のスパイラルに陥ります。 kansuto

ゲームサイクルがうまく回らない理由の一つは“UIの設計ミス”です。
初期設計が間違っている場合もあれば、運用の中での機能追加によりサイクルが死んでしまった場合もありますが、それらの問題を解決することで正しくサイクルが回り始め、結果的にユーザー数や売り上げの回復につながります。 DAU

プランナーさんはすぐに新しい施策を打ちたがりますが、根本的な問題を解決しない限り、永久に同じ問題に悩まされ続けることになります。
ユーザーが思い通りに動いてくれないと感じたら、施策を打つのではなく、問題の本質を探って改善するのが最優先です。

5経験不足

デザインも他の仕事と同じように幾つも案件をこなしながら少しずつ精度の高い成果物をあげられるようになっていくものです。
何度も画面UIをデザインしていくうちに、いろいろな表現方法やデザインパターンを知識として蓄積していくわけです。
特にゲームのようにサービスごとに機能が変化するものの場合は決まった王道パターンに当てはめるのが難しい場合が多いので、デザイナーの感性が顕著に現れます。
それをデザインの技術書すら読んだことのないような素人たちがちょっと画面構成を考えてみた所で我々プロに敵うわけがない。
「出来てたまるか!」というのがデザイナーの本音。

事実できるプランナーなんていません。会ったこともありません。
できると思ってる奴は世間知らずのアホです。デザイナーが影で頑張って辻褄合わせてくれてるだけです。 no

断言しましょう。
UIの最適解を導き出すのにプランナーが3カ月かかるなら、プロのUIUXデザイナーは1週間でそれを創り出せます。

6ユーザー目線が足りない

デザイナーには長年に渡って蓄積してきた知識や技術があり、それらの経験を踏まえてよりユーザーに優しいデザインを提案します。
いわゆる“ユーザー目線”と言うやつです。

開発現場ではずいぶん安っぽく使われる便利なワードですが、このユーザー目線って実は、一朝一夕で身につく感覚では決してないです。
何度も色んな失敗や試行錯誤を重ねて少しづつ理解していけるデリケートな感覚です。(少なくとも僕はそう思っています)

そのため、UIにおけるユーザー目線はデザイナーが一番精通している感覚だと言えると思います。
実際、ユーザーがどう とか言っておきながら自分のやりたいことを言っているだけの場合が多く、本当にユーザーのことを考えているPが少ないといつも感じます。

はじめのうちはユーザーのための機能改善でも、開発が進んでくると機能を作ることが目的化してしまい、本当にその方法で正解なのか?ということまで考えなくなります。
「とにかく作れ」「作らなければいけない」「間に合わせるにはこうするしかない」という理屈に執着し始めると、もうすでにその時点でユーザーにとって有益か否か?という視点が抜け落ちます。

最終的には中途半端な誰も得しない手間だけが増えるクソUIが出来上がり、ユーザーの操作が改善されることもなく工数を無駄にする始末。
当然ながら数字も変化しないので「また新しい機能を入れよう」というアホが現れ、永久に改造を繰り返す負のスパイラルに陥ります。 aho

経験上、プランナーの「こうしたい」を実装して何かが改善したという経験は1度もありません。
もう一度言います。”プランナーのこうしたいを実装して何かが改善された経験は一度もありません!!”

dakara 大抵の場合はデザイナーの提案など理由もなく却下されるのが常。デザインの変更に貴重な開発期間を取られたくないと言うのが本音でしょう。
しかし逆に言えば、デザイナーが最初に提案した通りに作っていれば後になって「やっぱり修正します」なんて無意味な時間が生まれることもないわけです。

最終的にデザイナーが予言した通りのデザインに落ち着いていくと言うのは、嫌と言うほど経験しました。


結論:
デザイン知識のない奴がUIを設計するとロクなことがない

ワイヤーなんていらないから、箇条書きでもいいんで何をしたいか言ってください。それでこっちは十分画面を作れます。


とはいえ、一人で仕事しているわけではありませんから、デザイナーが好き勝手やっていいと言うわけでは決してありません。
むしろデザイナーは色んな人の意見を聞きたいと思っています。

たくさんの意見を聞いた上で最適解を探し続ける。
それがデザイナーの仕事です。


それが出来ない奴はデザイナーではないので、うちにそんな人材いないと思ったチームの方は他のデザイナーを探した方が良いでしょう。
ゲーム業界にはデザイナーを名乗りたいだけのなんちゃってデザイナーも結構います。

ゲーム業界ではデザイナーよりもプランナーの方が圧倒的に立場が上なので、彼らの言う通りの画面を作ることがデザイナーの使命になってしまっていますが、疑問を挟む余地すらない独りよがりな開発体制ではいいものなんて絶対にできません。

デザインのプロにデザインの指示を出したいならデザイナー以上にデザインの勉強をしてください。そしてデザイナーもプランナー以上にUXの勉強をすべきです。

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