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ユーザーはUIに関心が無い

ゲーム業界ではUXを作るのはプランナーの仕事という概念が浸透しているため、UIにおけるUX設計もプランナー主導であることが多いです。
ただ、彼らはデザインの素人。ゲームというサービスのUX設計は出来てもUIの設計は専門外なため、残念なプロダクトが多いのが日本のソーシャルゲームの現実です。


UIデザイナーは常に自身の携わるプロダクトの画面設計がユーザーにとって快適に操作できるものか否かを考えていて、UIに使いづらい部分や分かりづらい部分があったり、何か追加機能を入れる際にはこうしたほうがいいという提案をよくします。
しかし、デザイナーがUIデザインを主導できない以上、プランナーの承認を得なければ先に進まないという不自然なパワーバランスがゲーム業界には存在します。
そしてたいていの場合「変える必要がない」の一点張りで、プランナーはデザイナーの意見を聞こうとしません。

既存のUIを変更することがユーザーにとってのストレスになるだったり、ユーザーから使いづらいという意見がないから というのが彼らの主張ですが、
そもそもユーザーはUIに関心が無いという事実に彼らは気付いていません。

人間は慣れていくもの

例えば普段からよく使うキーボード。 keyboard 始めはみんななんで50音順に並んでないんだ? って日本人なら誰もが思ったのではないでしょうか?
だけどみんな使いながら慣れていく。・・・なんで? 理由は簡単。
これしかないから。

ほかのものだってみんな同じです。
スマホだって自動車だってどこかの誰かが最初に構造を考えて、それを使い続けるからユーザーが慣れていったに過ぎなくて、使いづらさはあってもそれをイチイチ突っ込むユーザーなんていないというわけです。

「こんな機能があったらいいのに」というユーザーからの要望はよく聞きますが
このボタンがこの位置に欲しいとか、この画面への遷移がここにあったらいいのになんて意見を言うユーザーがいないのは、使いながら慣れていけばいいというのが当たり前だからに過ぎません。
(そもそもそんな細かいことを気にするのはデザイン知識がある人間だけです。知識がないものに対して意見なんてしないでしょ)

それをユーザーから意見が無いからこれでいいんだと勘違いしている開発者が多すぎるのがゲーム業界です。
常に使い続けているUIが使いづらくて嫌気がさしたらやめられてしまうというリスクを認識していないような気がします。

UIに対する不便さを感じていても、自分から慣れていけばいいと思っているからユーザーはUIに対して何も言わないんです。

玄人向けUIという言い訳

機能が複雑化し、ヘビーユーザー向け(慣れた人)に開発者しか理解できないUIを作りたがる人がよくいらっしゃいます。
「それ、アンタにしか解らないだろ」と突っ込みを入れると彼らは必ずこう言い訳します。
「玄人向けのUIだから」

ハッキリ言いますが、玄人向けのUIなんでものは存在しません。使い方が個人個人で違うだけです。

レーシングカーも自家用車も大型トラックも運転席の基本構造はみんな一緒です。
ドライバーの技量が違うだけで、運転免許を持った飛行機パイロットのために車の運転席をわざわざコックピットに改造するなんてありえないことです。
「玄人向けのUI」という言い訳はそう言っているのと同じです。
作るならユーザー自身がUIをカスタマイズできる機能です。ただ、アプリの場合は過剰かもしれませんね。

素人が使いやすいUIなら玄人だって使いやすいんです。
UI設計者はまず”思い込み”を捨てましょう。

win10のUIはクソだ。それでも使い続ける理由

Win8からWin10に変更された際、あまりのフラットさに僕は使いづらさを感じました。(今もだけど)
前の方がよかったとか、使いづらいなーと思っても、我々ユーザーは使い続けて慣れていくしかないわけですが、代替のサービスがあってそっちのほうが使い易ければ乗り換えるだけですよね。
それでも僕がwinを使い続けているのは、これが無いと仕事ができないからです。

既存のUIが突然変更されたらストレスになるというのは理解できるますが、以前よりも快適になるとしたら?
使いづらさを感じるのは初見だけでその後はより長く継続してくれるのではないでしょうか?

そもそも、初期設計がミスっている時点でそんなものを世に出してしまえる意識の低さの方が問題だと僕は思うし、
UIを変えた程度で離れてしまうのなら、それはコンテンツ自体に魅力が無いだけだと思います。

アップデートでUIを変更するリスク

ソーシャルゲームはリリースされてからも変更がきいてしまうサービスなので、大型アップデートなどでガラッとUIが変更されることがあります。
UI全体が変わるような場合はデザインが刷新され、新しいサービスのように見えるのでユーザーにとってのストレスは比較的抑えられると思いますが、
先に述べたようにユーザーは使いながら徐々にUIを学習していくので、小さなアプデで細かく変更されると、せっかく覚えた操作を変更されるたびに学習し直すコストがかかるため、ストレスになります。

特に問題なのは既存の操作ルールと違う挙動をするような変更を実施する場合。

操作の基本概念が覆ってしまうので、継続ユーザーが戸惑います。
UI全体が刷新されるくらいの大型アップデートでやるくらいにしておかないとその時点でユーザーが離れてしまう危険性が大きいです。 NGUI
UIUXデザイナーは既存の操作方法でも同じように使える変更しか基本的にはしません。
正直なところ、辻褄を合わせるのは非常に困難な作業です。そのため変更に耐えうる構造設計を先に作っておくのが賢いデザイン運用です。

新機能の追加や改造によって、本来想定していたUXを提供できなくなってしまった場合に、UIにテコ入れするというのが一般的なサービスの運用方法だと思いますが、きちんと作りこまれていない状態でも「とりあえずリリースしちゃおう」というのがSGではよくあります。
個人的には不良品とわかっていながら販売してしまうような、プロ意識に欠けた愚行だと思うので、リリース時にはある程度の改変にも耐えうるUIを提供し、改修はタイミングを見て実行するというのがプロの仕事だと考えます。

UI設計者は変更が加わっても耐えうるUIのルールをあらかじめきちんと作りこんでおくことが何より重要です。

UI操作のルールを変えてしまうということ自体に大きなリスクが伴うということを覚えておきましょう。

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