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UI発注の仕方 超初心者講座

「このサービス(ゲーム)のUI作ってください」とだけ書かれた1行のメール——デザイナーをやっているとたまに遭遇するやつです。
気持ちはわかります。発注する側も「デザインの発注の仕方」なんて誰も教えてくれませんから。
この記事は、デザインを外注したいけど、どうやってデザイナーに依頼したらいいの?という人向けに「最低限これだけ伝えてもらえれば、お互い幸せになれます」という5つのポイントをまとめたものです。
受注側としてもデザイナーとお仕事をされたことが無いクライアントさんを相手にする際、役に立つのではないかと思います。

1相場を知る

発注前に「デザインっておおよそいくらかかるものなのか」を知っておくことは実はとても重要です。
相場感がないまま発注すると、予算と発注内容がそもそも噛み合っておらず、見積もりを見てから揉めるというケースが少なくありません。
画面1枚といっても、ワイヤーフレームだけなのか、配色・素材込みのフルデザインなのか、レスポンシブ対応や複数解像度の書き出しまで含むのかで、工数も金額も大きく変わります。
逆に言えば、相場感を持って「この予算でできる範囲はどこまでか」を最初に確認してもらえると、デザイナー側も「予算内でできる現実的な提案」をしやすくなります。

相場を知る方法

クラウドソーシングサイト(ランサーズ・ココナラなど)の価格帯を複数見る / 知り合いのデザイナーに概算を聞いてみる / 発注前に2〜3社から見積もりを取って比較する。
「デザイン」「料金」「相場」などで検索すると、価格表を公開しているデザイナーさんもいらっしゃいます。
ちなみに、私も公開しています。
1社だけの見積もりで高い・安いを判断しないのがポイントです。
クオリティ次第で値段が高くなるのは当たり前です。クラウドソーシングなどは制作費がかなり安く抑えられている一方、画一的で個性のないデザインになりがちです。テンプレートベースのため細かな要望に対応できない・融通が利かない、値段相応の品質、といった業者も少なくありません。

2サービスの内容をきちんとつたえる

身も蓋もない話ですが、「何のサービスなのか」がわからないとUIは作れません。
ECサイトなのか、マッチングアプリなのか、社内ツールなのか——サービスの種類によって最適なUI・UXはまったく変わるからです。サービス名だけ伝えられても、それが何の略なのか、どんな業界向けなのかはこちらには分かりません。検索すれば出てくるだろう、という期待は持たない方がいいです。
「いい感じにオシャレに」だけでは、デザイナーは何を基準に色を選び、何を基準にレイアウトを組めばいいのか判断できません。
判断材料がないまま作ったものは、結局「なんとなく」のデザインにしかならず、後から「思っていたのと違う」と言われる原因になります。

最低限伝えてほしいこと

どんなサービスか(ジャンル・業種)/誰が使うのか(年齢層・利用シーン)/何を達成してほしいのか(購入・登録・予約など)
デザイナー側の視点で言うと、ここが曖昧なまま見積もりを出すと、後工程で「思っていたものと違う」が頻発し、結局工数オーバーの原因になります。最初にこの3点を確認しておくだけで、見積もりの精度がぐっと上がります。

3コンセプトを明確に

サービス内容がわかっても、見た目の方向性が決まらなければデザイナーは手探りで作るしかありません。
色、テーマ、モチーフにしたいキャラクターやオブジェクト、サービス全体の雰囲気、参考にしたい既存サービス——なにかしらの足がかりが必要です。
よく「センスにお任せします」と言われることがありますが、これは一見ありがたい言葉に見えて、実は発注者・デザイナー双方にとってリスクのある依頼です。 デザイナーの解釈と発注者のイメージが一致する保証がどこにもないからです。出来上がった後に「なんか違う」と言われても、何を基準に直せばいいのか分かりません。

参考イメージは3つ用意すると伝わりやすい

「Aのこの配色」「Bのこのアイコンの雰囲気」「Cのこの余白の取り方」のように、複数の参考から要素を組み合わせて伝えると、丸ごと真似ではなく「好みの傾向」が伝わりやすくなります。

4要件定義する

ここが一番見落とされがちなポイントです。
デザイナーは基本的に「見た目」を作る専門家であり、画面の裏側の仕組みまで考えてデザインを組んでいるわけではありません。
「どういう機能が必要で、どういう構造で画面が成り立つのか」という要件定義は、本来は発注者側(またはディレクター・プランナー)が用意すべき情報です。
見た目だけを発注すると、出てくるのは「ただの絵」です。ボタンを押したら何が起きるのか、入力フォームにはどんな項目が必要なのか、一覧画面には何件表示されるのか——こうした仕組みの部分まで考えたうえで、「どんなデザインパーツが」「どんなサイズで」「いくつ必要なのか」を明確にしてもらえると、デザイナーは初めて実用的なUIを設計できます。

受注側の自衛にもなる

ここを丸投げされると、デザイナーは「デザイナー」というより「仕様も考えるディレクター」の仕事まで巻き取ることになります。
それ自体は対応できなくはないですが、その分の工数と費用は別途かかる、ということは知っておいてもらえると助かります。
逆にデザイナー側としては、要件定義が曖昧な依頼を受けた時点で「これは見積もりに幅が出る案件」と判断し、最初に確認質問を投げる・契約前に要件を文書化してもらう、といった自衛ができます。
「言った言わない」のトラブルの大半は、ここの認識合わせ不足が原因です。

5依頼内容を整理する

最後はシンプルですが、一番重要かもしれません。
出来上がった後になって「あれも欲しい」「これも欲しい」が次々と出てくると、プロジェクトは永遠に終わりません。いわゆる「スコープクリープ」というやつです。
依頼内容は最初にできるだけ箇条書きで整理しておくのがおすすめです。後から要望が増えること自体は珍しくありませんが、それが「最初の依頼に含まれる微調整」なのか「新しい追加依頼」なのかの線引きが曖昧だと、デザイナー側も身構えてしまいます。

最初に「ここまでで完成」を決めておく

「トップ画面・一覧画面・詳細画面の3画面まで」のように、依頼の範囲を最初に区切っておくと、追加依頼が発生したときも「追加分」として自然に切り分けられます。


5つを揃えるだけで、お互い幸せになれる


①相場感の共有 ②サービス内容 ③コンセプト ④要件定義 ⑤依頼範囲の整理——この5つさえ揃っていれば、デザイナーは迷わず最短距離で良いデザインを提案できます。
逆にこれが揃っていない状態で発注すると、何度もやり取りが発生し、結果的に納期もコストも膨らんでしまいます。
スクショ1枚で「いい感じにお願いします」と言いたくなる気持ちはわかりますが、それは「シェフに『美味しいやつ作って』とだけ言って食材も予算も伝えない」のと同じです。
多少面倒でも、最初にきちんと情報を渡すことが、結果的に一番の近道になります。 デザイナー側の自衛としても、この5項目はそのままヒアリングシートとして使えます。
依頼が来た時点でこの5つが埋まっているかを確認し、埋まっていなければ着手前に質問する——それだけで「認識違いによる手戻り」をかなり減らせます。

※ この記事は実務経験をもとにした個人の見解です。発注のすべてのケースに当てはまるものではありませんが、参考になれば幸いです。

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